今からさかのぼること数年、桜の蕾も膨らみ始めた初春に3人の若者がジョッキを片手に思い出話で盛り上がっていた。
この3人こそ、後に日本の精神文化をデザインとして具現化したTシャツブランド「EN
MASSIVE SUN」を立ち上げることになる、
Takashi、Shiba、Tsune である。
この3人、高校時代からの友人で、体育会系で殴り合いながら友情を深めてきた仲である。
それぞれ大学を卒業し、社会人として日々地道に頑張っていた。
Tsuneは昔から夢見ていたデザイン関係で、Shibaは数学に没頭しながらもデザインの修練も怠らず、Takashiは一般企業で。
しかし、Takashiには何かしっくりいかないものが、澱とでもいうようなものが常に心の中にあった。
それが何であるのか本人にも分からず、何となくごまかす様に日々を送っていた。
そんな鬱憤もあったのか、この夜、TakashiはTsuneとShibaを相手に鬱陶しいほど絡んでいた。
「俺は、日本のすごさを世界に発信する仕事がしたいんだ!」
「日本のかっこよさを知らない奴らが多すぎる!」
Takashiは大学卒業後に海外で生活していたことがあるのだ。
その当時、斜に構えて日本を勘違いしている海外の人を相手に、日本の良さをガンガンかましていた。
まわりにいた当の日本人でさえ、日本のすごさをあまり分かっていないことに不満さえ覚えていたほどだ。
世界の国々は自国の文化の素晴らしさをどんどん発信しているのに、日本は控えめな国民性のためか、
うまく発信出来ていないように思える。
「だったら俺がその発信源になってやる!」
そんな気概で帰国したはいいが、じゃぁどうするんだ? となったとき途方に暮れてしまった。
結局、大手製造業の間接部門で働くことになったが、その夢は捨てることなく常に持ち続けていた。
「俺もそう思うわ。」
「おう、俺も。特に日本の精神文化ってすごいと思うんだよね。」
「そう、それに日本語ってめちゃくちゃすごいと思わない?
これほどシステマティックでいて、自然の機微や感情を表現できる言葉って、 なかなか他にないぜ。
それに、言葉に魂が宿るっていう思想も、日本人なら普通に理解できるし、精神性の奥深さの証拠だよね。」
そう、実はTsuneとShibaも海外放浪歴があるのだ。
だからTakashiの言わんとすることが、実感としてこの二人にも理解できるのだ。
「でも、俺ができることっていったら、デザインを創ることくらいだしなぁ・・・」
Tsuneがぼやく様に言うと、
「俺もそうなんだよなぁ、Tsuneとは方向性は違うけど、やっぱりデザインするのが好きなんだよね。」
Shibaもぼやきに続いた。
なんとなく話が尽きてきたところで、新しいビールとおつまみを注文した。
店員さんが注文を聞き席を離れたところで、Takashiがはっとした顔で二人を見た。
「Tシャツ! Tシャツ!!」
いきなりテンションが上がって吼え始めたTakashiを見て、TsuneとShibaがTakashiを殴り倒した。
体育会出身のため、こういうことはよくあることなのです。
「いきなりうるせぇよ!しみじみしてたところなのによぉ。」
「痛ぇな、なにすんだよ、いきなり! ってか、そんなことじゃなくって、Tシャツ!」
「だからTシャツがなんだよ?今夜の寝巻き貸してほしいのか?」
「いや、そういうことではなくて。 ほら、俺たちってめちゃTシャツ好きジャン?」
TakashiはかなりTシャツが好きなんです。
海外に行ったお土産は、必ず現地のTシャツ! というくらいどこに行ってもTシャツを見てる。
でもまぁ、オシャレというわけではない・・・
TsuneとShibaもデザイナーだけあってハイセンスなデザインのTシャツはとても好きで、
よくTakashiから それいいなぁ〜ちょうだいよ〜 と付きまとわれている。
「Tシャツに、お前らが創る言霊を込めたデザインを背負わせて、海外に売る!」
「あ・・・」
「俺は前から、日本発世界のビジネスを立ち上げたいって言ってたじゃん。
そのコンセプトを言霊として、お前らのデザインを背負わせたTシャツを世界に発信しよう!
俺の夢、お前らの夢、すべてが一つに集約できると思わない?
欧米なんかでは、勇気とか愛とかの漢字Tシャツを喜んで着てるんだぜ。
もし俺らが本当の日本の伝統や言霊を込めたデザインTシャツを、
一つのデザインに大きな物語の込められたTシャツを発信できたら、 絶対にすごいことになると思わねぇ??」
ShibaもTsuneも急に顔が輝きだした!
「お前、ただのアホだと思ってたけど、今だけは見直したわ!!」
「俺たちのブランドを立ち上げて、本当に込めたいメッセージを込めた、本当の言霊を具現化したデザインTシャツを世界へ!
そして、デザイナーとして、一枚のTシャツがそれだけでファッションとなる。着ることによって言霊を体感できる。
そして日本の本当の素晴らしさに気付くきっかけとなれる!」
3人は一気にまくし立てる様に話し出した。
「やろうぜ!挑戦しようぜ!」
これが EN MASSIVE SUN の誕生の瞬間だ!
Takashiが
「俺は正直、デザインのことはまったく分からない。だからデザインに関しては全面的にお前らに任せる。
俺はデザインには一切口は出さない。そのかわりマネージメント面は任せろ。
英語だけじゃなくいろんな言語が必要になるかもしれない。
それに海外相手だから、契約や輸出なんかもあるだろうし、Tシャツを作るということもある。そういうことは心配しないでいいよ。
一から勉強する。お互い役割分担をしっかりして、自分の責任は絶対に守ろうな!」
と真面目な顔して言うと、
Tsuneが
「任せろ!めちゃめちゃ尖ったデザインを創ってやるよ!最近流行ってる和柄のような派手さではなく、本当に心に響くデザインってやつだ!」
とめちゃめちゃかっこいいことを言いやがった。
Shibaも
「合理性と不合理性の調和が、日本には伝統的に存在する。ってかそれが日本の素晴らしいところだ! 」
実はShibaはデザイナーであるが大学は工学部で、最近は数学にハマり「数学は突き詰めると哲学だ」と、かなりハイブリッドな思考センスなのだ。
こうして、いずれ日本発Tシャツブランド<EN MASSIVE SUN>が誕生したのである。
そしてこの夜、3人はめちゃくちゃ興奮しながらこれからのことを話し合いながら、飲み明かした。
<EN MASSIVE SUN>の由来
エンとは円で、すべての連環。日本人の思想の根底にある平和をも意味し、仏教の輪廻転生にもつながる。
エンという発音は色々な意味の漢字、人生のすべてをこのエンの発音をもつ漢字で表せる。
つまり、このエンこそ、日本の精神性を最も表し、言霊を現すもっともすばらしいものだと考えた
円・・・平和、すべての連環
縁・・・すべての関係、友情・愛情・家族・必然も偶然もすべて包めて、人生は縁でつながってる。
宴・・・うたげ。人々が集まり、酒を酌み交わす。
炎・・・ほのお。火は人間にとって必要不可欠なもの。闘志という意味もある。
艶・・・あでやか、またはセクシーというニュアンス。男を(女をも)魅了する魅力をもつ。
援・・・助け合う。人々が互いに応援しあい助け合う。
怨・・・うらみ。負の感情ではあるが、人間からは消すことができないもの。
燕・・・つばめ。日本では古代よりあの世とこの世を往来できる鳥だと思われてきた。
他多数。
そしてMASSIVE SUN。
MASSIVEとは日本語で、「壮大な、巨大な」という意。
SUNは太陽。
つまり巨大な太陽、日出づる。まさに日本そのものを表している。
この二つをくっつけて、EN MASSIVE SUN というブランド名を創造した。
まさに3人の夢がそのまま込められた素晴らしい名だと自画自賛のTakashiでした。
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